第9回 妄想・思い込みが激しい方への対応
妄想とは
非現実的で合理的ではないことを信じ、他者が訂正するのが難しい思い込みの事をいいます。また、妄想や作り話に聞こえることが、実はご家族や介護者が知らないだけで本当の話だという事はよくあります。その他、レビー小体型認知症に特徴的な幻視は、見えるはずのない動物や虫、人間などが動いて見える症状です。
症状
- 「私はタレントだった」「父は総理大臣だった」「(亡くなった)おじいさんが待っているから行かなくてはならない」等々ありもしないことを言う。
- 財布等を盗まれた・・・もの盗られ妄想
- 夫や妻が浮気している・・・浮気妄想
- 「追い出される」「いじめられる」等と被害的な事を頻繁に言う
原因
認知症の人がありもしない嘘の話をする事を作話と言います。本人は、嘘をついているつもりはありません。
- 自分が衰えてきている事への自覚から不安や焦りが生じて、金銭、物品への執着や見捨てられるかも知れないという恐怖に発展していくのだと思われます。
- 認知機能が衰えている為、必要な事を忘れたり、その反応に不要な情報が残っていたりする事があるので、作り話をする事で、本人なりに矛盾を正して納得しようとしているとも考えられます。
- 上記の症状など、自分を誇大的に表現する場合、今の生活に何らかの不満があったり、孤立感を抱いている事も考えられます。
- 嫁やヘルパーに財布を盗まれた等と訴えるのは、大事なお金を盗られない様、押入れの奥の方などにしまっているのです。ところが、自分でもどこにしまったか、あるいはしまった事自体を忘れるなど、こうした記憶がすっぽり抜け落ちてしまうのです。その結果、人を疑うのがもっとも合理的になります。こうした事を『妄想』と呼ぶべきか疑問に残るところです。
引用:一般社団法人全国訪問看護事業協会(2015)『こんなカン違いや思い込みしてませんか?認知症の方を介護するご家族のためのガイドブック』
対応
- 認知症の人でなくても、もしも周囲の人から自分の話を否定され続けたら嫌な気持ちがするでしょう。どれだけ不安で悲しくなるか、想像がつきますよね。なので、認知症の人を前にして真っ向から否定するのは、ひどく傷つける事になるので控えた方がいいでしょう。
- 否定したくなるような事が多いかもしれませんが、できるだけ「そうですね」とひとまず話を聞いて、落ち着かせてあげましょう。自慢話の様な内容であれば、とてもご機嫌で話しているはずです。しっかり聴いて気持ちを共有してあげる事が大切です。
- 中にはトラブルの原因になるような作話をする事もあります。例えば、家族がお金を持ち逃げしたと近所に話したりする事があるかもしれません。場合によっては、前もって近所の人に事情を話して理解を求めることも必要です。
- 介護者への否定的な妄想が強くなり、介護者の負担や本人の負担の混乱が激しくなった場合には、介護を別の人に代わってもらったりする事も大切です。または、お住まいの地域を担当する地域包括支援センター(通称おとしより相談センター)へご相談ください。
認知症地域支援推進員は、電話相談・自宅訪問を行っております。
お気軽にお住まいの地域を担当する地域包括支援センターの認知症地域支援推進員にご相談ください。
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