令和4年度 ひたちなか市施政方針

ページID1009252  更新日 2023年3月2日

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大谷明市長は、令和4年ひたちなか市議会3月定例会の開会(令和4年3月2日)に当たり、令和4年度の市政運営に関する所信を表明しました。ひたちなか市施政方針の全文を掲載します。

6つの施策の柱

  1. 市民の安全安心な暮らしを守るまちづくり
  2. 生涯を通じていきいきと暮らせるまちづくり
  3. 子育て世代に選ばれるまちづくり
  4. 地域経済の活性化とにぎわいのあるまちづくり
  5. 快適で機能的な住みよいまちづくり
  6. 市民とともに知恵と力を合わせたまちづくり

令和4年度 ひたちなか市施政方針

令和4年第1回ひたちなか市議会3月定例会の開催に当たり、提案いたしました議案などの説明に先立ちまして、市政運営に関する所信の一端を申し上げ、市民並びに議員各位のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

はじめに、コロナ禍において、長期にわたり医療や福祉の現場を支えてくださっている多くの皆様、感染症対策にご協力いただいている市民の皆様、事業者の皆様に心から感謝を申し上げます。

昨年を振り返りますと、令和2年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症への対応に追われた1年でありました。

感染力の強いデルタ株が世界的に拡大したことによって感染者は急増し、経済に大きな混乱をもたらしました。その後、ワクチンの普及などにより、世界経済は回復基調が続いているものの、オミクロン株の急拡大やインフレ圧力の上昇、エネルギー価格の高騰などのリスク要因もあり、その成長は鈍化するとの見方がされております。

日本国内でも緊急事態宣言等の継続で経済活動が制約を受けていた影響などもあり、昨年7月から9月期の実質GDP成長率は前期比で0.9%の減となりました。本市におきましても、産業交流フェアや勝田全国マラソンといった大型イベントの中止や延期を余儀なくされるなど、大きな影響を受けております。

そのような中、市民の皆様が安心して生活できるよう、新型コロナウイルス感染症への対応に、全力を挙げて取り組んでまいりました。ワクチンの接種につきましては、医療関係者や職域接種等による事業者のご協力もいただきながら、令和4年2月末現在で、92%以上の方々が2回目の接種を終えているところであります。3回目のワクチン接種につきましても、医療従事者等の接種はほぼ完了いたしました。現在は国や県の方針に基づき、接種間隔をできる限り前倒しして、高齢者をはじめ、2回目の接種から6か月経過した方への接種を進めており、明日3月3日には、昨年の9月3日までに2回目のワクチンを接種した方に向けて、接種券を送付いたします。引き続きひたちなか市医師会などの関係機関と連携しながら、迅速な対応を行ってまいります。

また、オンライン形式で実施したひたちなか祭りや、日程を集約し、無観客で実施した花火大会など、これまでの手法にとらわれない、ウィズコロナを見据えた新しい取組にも、各種イベントの主催者の皆様と共に挑戦してまいりました。

さらに、観光庁の補助事業を活用し、市内の観光事業者等と連携しながら、阿字ヶ浦海岸周辺地域において、コロナ禍でも開催が可能となる新しい集客モデルの実証実験に取り組んでまいりました。

今後の先行きは不透明ではありますが、情勢に合わせた臨機応変な対応により、感染症対策と地域経済の活性化の両立を図ってまいります。

さて、我が国の人口に目を向けますと、人口減少、少子高齢化が急速に進行しております。令和2年国勢調査の結果によると、日本の総人口は1億2,614万6千人と前回の平成27年調査と比較して94万9千人減少しており、市町村単位でみると全自治体の8割以上で人口が減少している状況です。本市においては、令和2年調査時の人口が15万6,581人となり、平成27年調査との比較で、892人の増加となりました。県内でも多くの自治体で人口が減少する中、本市では人口を維持することができました。

また、令和2年の全国の出生数につきましては、厚生労働省の人口動態統計によると、84万835人と前年から2万人以上減少し、過去最少となりました。令和3年の出生数につきましても、妊娠届出数の状況からも、更なる減少が見込まれております。本市でも、出生数は近年減少が続いており、これは、若年女性の人口流出が続いていることが原因の一つであると考えられます。

このように自然動態では、人口減少、少子高齢化のトレンドが継続しており、本市においても、出生数の減少により将来的な人口減少が懸念されるところです。このまま人口減少や少子高齢化が進行すれば、地域での支え合いや活力の低下に加え、市税収入の減少などによる財政面への影響も懸念されます。

一方で、社会動態につきましては、令和2年の東京圏の転入超過数が前年より大きく減り、令和3年においても更に減少しております。コロナ禍で東京圏から地方への移住ニーズが高まっていると言われており、こうした状況は、東京圏からの距離が近い本市にとっては好機であり、スピード感をもって新しい挑戦を行っていく必要があると認識しております。

平成30年11月に市長に就任して以来、私はひたちなか市が多くの方から「選ばれるまち」となるよう、様々な分野において将来につながる種を蒔いてまいりました。そして任期最後の年を迎える今、それらが芽吹きつつあると感じております。

子どもを育てやすい環境づくりにつきましては、小児マル福の外来医療費助成を18歳まで拡充し、高校生までの子どもをもつ親の経済的負担の軽減を図ってまいりました。また、働く女性の増加や幼児教育・保育の無償化などを背景に、少子化が進む中でも、本市においては0歳児から2歳児までの保育需要が増加しており、平成31年4月時点で25名の待機児童が発生しておりました。そのため、0歳児から2歳児までの受入れを行う高野いろは保育所を令和2年12月に開所いたしました。更に、高野いろは保育所の連携園でもある東石川保育所を昨年10月に建て替え、定員を120名に拡大するとともに、0歳児保育や病後児保育を開始するなど、子育て世代のニーズに対応してまいりました。こうした保育環境の整備を進めたことにより、令和3年4月には待機児童0を達成したところでございます。

学校教育においても、GIGAスクール構想に基づく児童生徒1人1台のタブレット端末の導入や全校でのWi-Fi環境の整備など、デジタル化を進め、本市の将来を担う子どもたちの教育環境の充実を図ってまいりました。

また、安心して生活することができる都市環境の形成に向けて、令和2年に開通した和田町常陸海浜公園線、今年度供用開始した新上坪浄水場や防災拠点倉庫の整備など、災害に強いまちづくりを進めてまいりました。加えて、六ッ野地区や阿字ヶ浦地区をはじめとした土地区画整理事業により、良好な住環境の整備を推進しており、販売を開始した保留地においては、好調に分譲が進んでおります。

令和3年茨城県地価調査結果では、県内の多くの市町村で地価が下落傾向にある中において、本市の住宅地における基準地価の上昇地点数が県内第4位となっていることは、本市の住環境が一定の評価を受けているものと感じております。

これまで築き上げてきたまちの価値を、更に高めるために立ち上げたマーケティング推進事業におきましては、様々な調査やデータ分析を反映した第3次総合計画後期基本計画を策定し、移住・定住促進やシティプロモーションといった新たな取組を推進してまいりました。

湊線延伸事業につきましては、引き続き、ひたちなか海浜鉄道と連携しながら、できる限り早期の工事施行認可申請に向けて全力で取り組んでまいります。また、ひたちなか地区に造成を検討している工業用地につきましても、湊線の延伸事業との整合を図りながら、民間活力の活用も視野に早期の実現を目指してまいります。

こうした取組をしっかりと育て、未来に向けてつないでいくことによって、多くの人に「住み続けたい」「働き続けたい」と思っていただけるよう、これからも挑戦を続けてまいります。

多様な産業の活性化を図り、雇用を促進するとともに、子育て環境を整備することによって、仕事と育児を両立できる「職住育近接」のまちづくりを推進してまいります。

そして、災害に強く、生活しやすい都市基盤の整備を進めるとともに、老朽化が進む公共施設についても効果的なマネジメントを行い、すべての人が安全で快適に過ごせる効率的なまちづくりを行ってまいります。

まちが持続的に発展し続けていくためには、そこに住み、働く「ひと」の活力が必要不可欠であります。本市で活発に活動する地域の担い手や企業などと行政が力を合わせることによって、新たな価値を共に創り、子どもから高齢者、障害のある方など、あらゆる人が誇りや愛着をもって、いきいきと暮らせるまちを目指してまいります。

このような考えのもと、令和4年度予算につきましては、新型コロナウイルスの感染状況や国、県の動向を注視しながら、感染症対策と社会経済活動の両立を図るものといたします。また、第3次総合計画後期基本計画を推進し、これまでの取組をしっかりと前に進めるとともに、本市が「選ばれるまち」として更なる飛躍をするための予算といたしました。

まず、一般会計につきまして、歳入の根幹を成す市税について申し上げます。令和4年度においては、景気動向では持ち直しが期待されるものの、新型コロナウイルスの感染拡大が国内外の経済活動に与える影響が不透明であることから、個人市民税、法人市民税とも令和3年度見込みに比べ、大幅な増収は見込めない状況にあります。固定資産税についても、家屋の新増築などにより増加の要因もありますが、企業の設備投資計画や感染症対策の特別措置などを勘案いたしますと、減収となる見込であります。このような状況から、市税全体では238億6,450万円を見込んでおり、感染症の影響により大きく減収を想定した令和3年度当初予算に対しては4億8,190万円、2.1%の増となりますが、決算見込額との比較では微減となる見込みであります。

また、社会保障関連経費や公債費等の義務的経費の増加などに対処するため、令和4年度におきましても財政調整基金及び市債管理基金から37億9,187万9千円の繰入金を計上しているところであります。こうした、基金からの取崩しは近年続いているものの、令和3年度決算見込みでは当初繰入額を大きく減額できる見込みです。さらに、ふるさと納税寄付金等による積立額の増加もあり、令和3年度末の全ての基金の合計残高は前年度と比べ、若干ではございますが増加する見込みとなっております。引き続き、工業用地の確保に力を入れながら、企業誘致や産業振興による税収の確保に努めるとともに、ふるさと納税の拡充や、サマーレビューをはじめ、行財政改革の推進による自主財源の確保に取り組んでまいります。

次に、歳出について申し上げます。新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、これまで市では、感染拡大防止対策や大きく影響を受けている地域経済、市民生活を支援するために、複数回の補正予算を編成し、様々な対策を講じてまいりました。今後も感染状況や国・県の動向を見極めながら、必要な施策にしっかりと取り組むとともに、ウィズコロナやアフターコロナに向けた新たな取組などについても、引き続き検討してまいります。

これまで取り組んでまいりました主要施策につきましては、中丸川流域における浸水被害軽減プランに基づく雨水幹線整備や河川改修、土地区画整理事業や高場陸橋の4車線化のほか、佐和駅東西自由通路・新駅舎整備事業など、安全安心で快適に暮らせるまちづくりに必要な都市基盤の整備を、国の令和3年度補正予算も活用し、着実に進めてまいります。

また、消防本部・笹野消防署建設、防災行政無線のデジタル化など、災害に強いまちづくりに欠かせない事業についても計画的に進めるとともに、老朽化が進行する公共施設については、適正な施設保有量や維持管理コストを把握するための施設保全計画策定に着手し、公共施設マネジメントを推進してまいります。

そして、新たに官民連携によるマーケティング推進事業や県外学生の交流の場を創設し、UIJターン就職につなげる事業に取り組むほか、SNSを活用した発信力の強化や市民目線での情報発信など、引き続き幅広い年齢層に本市の魅力が伝わるよう、様々な手段を用いて、積極的なプロモーションを行ってまいります。

これらの本市の発展に不可欠な事業を推進するため、一般会計では、前年度比13億2,500万円、2.4%増の557億7,500万円、水道事業、下水道事業を含めた特別会計全体では、前年度比33億9,067万5千円、7.0%減の448億5,640万1千円となる当初予算を編成したところであります。

一般会計と特別会計の合計では、前年度比20億6,567万5千円、2.0%減の1,006億3,140万1千円となりました。コロナ禍による厳しい財政状況が見込まれますが、引き続き、安定的かつ健全な財政運営に努め、本市の更なる発展に向けて、市政運営に取り組んでまいります。

次に、令和4年度の市政への具体的な取組につきまして、以下の6つの柱に沿って、新たな取組や重点施策などについてご説明申し上げます。

1 市民の安全安心な暮らしを守るまちづくり

1つ目は、市民の安全安心な暮らしを守るまちづくりであります。

近年激甚化・広域化している自然災害に加え、刻一刻と状況を変える新型コロナウイルス感染症に対しても臨機応変な対応を図っていく必要があります。

新型コロナウイルスワクチンにつきましては、希望する全ての市民が円滑に接種できるよう、医療機関での個別接種と公共施設等での集団接種を併用し、スピード感をもって進めているところです。3月からは5歳から11歳までの小児に対しても個別接種と集団接種を併用した接種を開始することに加え、集団接種会場に小児科医を配置するなど、希望する小児が、安全に接種できる体制を構築してまいります。

災害時の対応につきましては、新型コロナウイルス感染症を踏まえ、引き続き避難所の衛生環境の向上を図るとともに、感染拡大時における避難の注意点を周知するなど、感染症対策に努めてまいります。また、備蓄品を集中管理し、各避難所に必要な物資を搬送する拠点である防災拠点倉庫が令和4年2月に供用開始いたしました。感染症対策備品を含めた物資の集中管理及び支援物資の受入れ・配送の拠点として円滑な運用ができるよう、対応マニュアルを整備するとともに、実践的な訓練を実施してまいります。

防災情報を確実に伝達するための取組につきましては、防災行政無線のデジタル化工事に着手するとともに、ひたちなか安全・安心メールやSNSなど多様な伝達手段を組み合わせ、市民に対し、適切かつ迅速な情報提供を行ってまいります。

河川の氾濫による浸水被害防止の対応につきましては、国や県、本市を含む那珂川の沿川市町が連携した「那珂川緊急治水対策プロジェクト」において、令和3年度は、無堤部である三反田地区と柳沢地区で堤防の整備が始まり、順調に進んでおります。引き続き、地元及び関係機関との調整を密にしながら、プロジェクトの早期進捗を図ってまいります。また、中丸川・早戸川水門への常設排水ポンプ設置等につきましても、引き続き、国及び県に要望してまいります。

集中豪雨対策につきましては、中丸川流域における浸水被害軽減プランに基づき、国や県と連携しながら河川や下水道の整備を推進することに加えて、地元の住民や企業と一体となった総合的な治水対策を、引き続き進めてまいります。

水道施設につきましては、令和4年2月に供用開始した、耐震性能を備える新上坪浄水場により、水の安定供給に努めてまいります。管路の更新や耐震化につきましては、引き続き市民生活に影響の大きい幹線管路や避難所、病院などの災害時における重要施設に給水する配水管を優先し、計画的に実施してまいります。

地震時の盛土の変形や崩壊を防止するため、市内の大規模盛土造成地のうち安全性を再確認すべき箇所を抽出し、優先順位を考慮しながら確認調査を実施してまいります。

また、昭和56年以前の旧耐震基準によって建築された木造住宅等の耐震診断及び耐震改修、そして、地震によって倒壊の恐れのある危険なブロック塀等の撤去を促進するため、引き続き費用の一部を補助してまいります。

地域における防災力の強化につきましては、感染症対策を踏まえた総合防災訓練の実施や地域が独自に行う訓練への支援、地域の防災リーダー育成への支援等に、引き続き取り組んでまいります。

原子力災害に備えた広域避難計画につきましては、複合災害への対応や災害弱者への支援等、多くの検討事項が残されているものと認識しております。東海第二原子力発電所が立地するこの地域は、原発所在地としては他に例のない人口規模であり、市民の安全確保を最優先とした実効性のある計画の策定に向けて、課題を共有する県や関係市町村と密に連携しながら取り組んでまいります。

また、東海第二原発の再稼働問題につきましては、引き続き、「原子力所在地域首長懇談会」の構成自治体と連携を図りながら、新安全協定に基づき、原子力所在地域の自治体として責任ある対応をしてまいります。

医師会・薬剤師会のご協力をいただきながら、市独自で全市民を対象に配布をしている安定ヨウ素剤につきましては、1歳6か月児健康診査と合わせた配布会を開催するなど、引き続き配布率の向上を図ってまいります。また、既に配布している3歳未満向けのゼリー剤の有効期限が令和4年度末までであることから、新しいゼリー剤への更新を行ってまいります。

消防・救急につきましては、指令システム及びデジタル無線システムの全面的な更新を含めた消防本部・笹野消防署の庁舎建替えに向けて、令和6年度の供用開始を目指し、ひたちなか・東海広域事務組合において庁舎建設工事を進めてまいります。

消防団につきましては、団員の処遇改善を行うなど、引き続き団員の確保を支援するとともに、中根地区の第10分団及び湊泉町地区の第16分団の消防ポンプ自動車を更新し、装備の充実を図ってまいります。また、佐和駅前地区の第27分団につきましては、活動しやすい環境の整備に向けて、団員が待機することのできる詰所を新たに建設してまいります。

空き家対策につきましては、地域交流及び地域活性化等の拠点づくりや移住・定住の促進等に活用できるよう、今年3月に開始予定の空き家バンク事業により、空き家の有効活用を進めてまいります。

消費生活につきましては、高齢者を狙った悪質商法やニセ電話詐欺等、多様化する消費者問題を未然に防止するため、引き続き、自動通話録音装置の貸出し等の取組を推進するほか、消費者相談及び啓発等に努めてまいります。また、若年層についても講演会や講座等を通じて啓発を図り、マルチ商法等による被害の未然防止に努めてまいります。

2 生涯を通じていきいきと暮らせるまちづくり

2つ目は、生涯を通じていきいきと暮らせるまちづくりであります。

少子高齢化が進行する中、誰もが住み慣れた地域で安心して幸せに暮らしていくためには、行政サービスの充実はもちろん、地域での助け合いや支え合いがますます重要となります。

地域の絆を深め、地域福祉を推進するため、コミュニティ組織や自治会、民生委員、福祉事業者等の関係者による協議の場づくりを推進し、積極的に意見交換を行ってまいります。

また、社会福祉協議会と連携しながら地域福祉の担い手を発掘・育成するための人材育成講座を開催するとともに、「地域福祉座談会」を開催し、地域における福祉課題の抽出や、地域福祉に関する意識の醸成を図ってまいります。

人生100年時代を見据え、高齢者の健康増進を図るため、令和3年度から、「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業」を開始しました。健診結果等のデータを活用しながら、健康リスクの高い高齢者に対する個別支援や、地域の体操教室などで集団指導をきめ細かく行うことにより、高齢者が生涯にわたり健やかに暮らし続けることができるよう努めてまいります。

また、医療と介護が必要な高齢者に対しましては、切れ目なくサービスを提供することができるよう、引き続き医療と介護の連携を推進してまいります。

介護保険事業につきましては、「認知症高齢者グループホーム」が2か所、「介護付き有料老人ホーム」が1か所開設される予定であるため、事業者による整備を支援してまいります。

地域医療の充実につきましては、ひたちなか総合病院における、救急医療等に不可欠な麻酔科医の確保や、筑波大学附属病院との協定に基づく社会連携講座による高度専門医師の確保を引き続き支援してまいります。また、リスクの高い妊婦に対する周産期の医療体制を維持し、安心して妊娠・出産ができる環境を整えるため、いばらき県央地域連携中枢都市圏の構成自治体と連携して水戸赤十字病院における産婦人科医の確保についても支援してまいります。

疾病予防の取組につきましては、国の新たな方針に対応し、子宮頸がんワクチン定期接種の積極的勧奨を再開いたします。対象となる新中学1年生から新高校1年生までの女性に対し、予診票と、ワクチン接種に関する情報をまとめたリーフレットを個別に送付するなど、理解促進に努めながら、接種を呼びかけてまいります。加えて、積極的勧奨を受けずに定期接種の期間を過ぎた17歳から25歳までの女性に対しても、公費で接種の機会を提供する「キャッチアップ接種」に関する通知を送付するとともに、市報や市ウェブサイト等も活用しながら周知に努めてまいります。また、風しんの定期予防接種を受ける機会がなかった男性を対象に、令和元年度から3年間実施してきました抗体検査及びワクチン接種を更に3年間延長して実施してまいります。

障害者福祉につきましては、障害のある方に対する理解を促進するため、市内の小中学生を対象として、障害者への配慮等を学ぶ講座を引き続き開催してまいります。

高齢者等の日常生活を支える買い物等の支援につきましては、社会福祉法人等が送迎車両を活用して行う買い物支援サービスに係る費用の一部を引き続き補助するとともに、事業拡大を図るため、社会福祉法人等への協力を呼びかけてまいります。また、民間事業者による移動スーパーについても見守り活動の協力に関する協定を結びつつ、事業の周知を図るなど、活動を支援するとともに、更なる拡充に向けて事業者との協議を行ってまいります。あわせて、公共交通の利用が難しくなった高齢者等への移動や買い物等の更なる支援のあり方についても幅広く検討してまいります。

「ふぁみりこらぼまつり」などの多世代交流イベントにつきましては、コロナ禍で開催が難しい状況が続いております。このような中においても、ふぁみりこらぼ館内に季節に合わせた装飾を施すなど、来場者に楽しんでいただけるよう、工夫を重ねてまいりました。引き続き、新型コロナウイルス感染症の状況を見極めながら、イベントの企画運営を行い、世代間交流の促進に努めてまいります。

国民健康保険事業につきましては、茨城県が国保税の賦課方式を所得割と均等割の2方式へ県内統一することを機に、本市としても税率改正を行い、持続可能な制度構築に努めてまいります。また、今回の改正により多くの世帯に影響が生じることから、独自の緩和策も講じながら、被保険者の負担軽減を図ってまいります。

3 子育て世代に選ばれるまちづくり

3つ目は、子育て世代に選ばれるまちづくりであります。

子育て世代に「選ばれるまち」となるためには、安心して子どもを産み育てることができる環境を整えることが重要です。あわせて、未来を担う子どもたちの豊かな人間性や、地域への愛着を育み、将来にわたって住み続けたいと思っていただけるまちを目指してまいります。そのために、子育て世代の声に耳を傾け、効果的な施策を立案するとともに、多くの方々に情報を届けられるよう、情報発信にも積極的に取り組んでまいります。

結婚に伴う経済的負担を軽減するため、国の結婚新生活支援事業を活用して、一定の所得層の新婚世帯における賃貸住宅への入居や住宅取得等を支援し、引き続き、本市における結婚世帯の増加と定住を促進してまいります。

また、子育て世代の本市への移住・定住や、子育て等における家族間の支え合いを促進するため、県外出身の子育て世帯や、市内で新たに三世代同居等を始める転入世帯に対し、引き続き、住宅取得等の費用の一部を助成してまいります。

さらに、国内有数の観光地である国営ひたち海浜公園の知名度を活かしたPRを行い、本市への移住につなげるため、引き続き、転入してきた子育て世帯に国営ひたち海浜公園の入園券引換券と海浜公園までの移動手段ともなるスマイルあおぞらバスの年間無料パスポートをプレゼントしてまいります。

令和3年度から新たに配置しました「子育て支援コンシェルジュ」につきましては、利用者一人一人に合った支援を引き続き行うとともに、ひたちなかでの子育てをもっと楽しめるよう、本市ならではの子育ての楽しみ方やライフスタイルを子育て中の当事者の目線から提案してまいります。

子育ての悩みや児童虐待の相談窓口となる家庭児童相談室につきましては、虐待対応専門員や事案ごとのリスクを判断するスーパーバイザーを配置するなど、児童福祉法に掲げる「子ども家庭総合支援拠点」の機能を新たに整備し、ソーシャルワーク機能を強化してまいります。また、家庭において一時的に子どもを養育できなくなった際に、温かい愛情と正しい理解をもった家庭環境のもとで児童が養育を受けることができる里親制度の普及に努めてまいります。

子育て支援センター「ふぁみりこ」につきましては、コロナ禍により失われつつある人と人とのつながりを再構築するため、保護者同士が交流しながら、子育ての悩みや不安を共有できる利用者参加型のグループワークなどのイベントを新たに取り入れてまいります。

「コドモノアソビバ」につきましては、夏休み期間中に開催する体験型のイベントが好評であり、普段利用しない児童が来所するきっかけにもなっていることから、年間を通して定期的に開催してまいります。

子どもふれあい館、長松子ども館、放課後の子どもの居場所づくりなど、地域社会との交流により子どもたちの社会性を育む取組につきましては、引き続きそれぞれの地域の実情に即した支援を行ってまいります。

公立学童クラブにつきましては、令和3年度から対象学年を6年生まで拡大し、現在は長期休業期間中のタブレットによる課題学習等に対応するため、Wi-Fi環境の整備にも取り組んでいるところです。令和4年度におきましては、新型コロナウイルス感染症による休業や長期休業期間におけるタブレット学習など、児童を取り巻く環境の変化に柔軟に対応してまいります。また、放課後児童支援員の認定資格研修をはじめとする各種研修の受講を推進し、子どもの育成支援に関するスキル向上に取り組むとともに、働きやすい環境づくりを進め、人材の定着、安定確保を図ってまいります。

働く子育て世代を支える保育所につきましては、引き続き、民間保育所への改築補助やアレルギー児・障害児に対応する保育所への運営費補助などを通じて、保育環境の充実に努めてまいります。また、病児保育につきましては、那珂湊地区の病院併設型病児保育施設「まりんルーム」に加え、那珂市との協定に基づく広域利用施設である「しろやぎさんのポシェット」に対する補助を継続して実施するとともに、勝田地区における病院併設型施設の早期開設に向け、引き続き開設希望事業者との協議に取り組んでまいります。全国的に課題となっている保育士不足の解消に向けては、市独自の保育士就職フェアの開催や保育士の養成学校への出前授業などによって、保育士の確保に取り組んでまいります。

また、民間の保育士、幼稚園教諭及び放課後児童支援員の処遇改善に向けて、本年9月まで実施される国の新たな処遇改善臨時特例事業を活用し、収入を引き上げるための補助事業を実施いたします。10月以降も施設型給付費への上乗せや放課後児童健全育成事業補助金により給与水準が維持されるよう、国や県と歩調を合わせて取り組んでまいります。

幼児教育につきましては、保育室の増築が完了した那珂湊第三幼稚園において、令和4年度から3歳児の受入れを開始することにより、市内全ての公立幼稚園において3歳児からの幼児教育を実施してまいります。

幼児期から小学校教育への学びの連続性を確保するため、保育士や幼稚園教諭と小学校教諭が、交流や相互参観等を通して、子どもの成長を共有し、意見交換を行う場を充実させてまいります。

特別な配慮を必要とする幼児や児童生徒に対しましては、適切な教育環境を支援する介助員を増員し、個々の状況に応じた支援の充実に努めてまいります。また、自立と社会参加に向け、一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導及び必要な支援の充実、関係機関との連携による支援体制の強化を図るとともに、障害の有無にかかわらず誰もが尊重し合いながら学ぶインクルーシブ教育を推進してまいります。

不登校やいじめを未然に防止するため、学校を安心できる居場所にするとともに、児童生徒が友達との絆を深めることができる協働的な活動を充実させることなどによって、学校に来ることが楽しいと思える「魅力ある学校づくり事業」を推進してまいります。

コミュニティ・スクールの取組につきましては、令和3年度から全ての小中学校等に学校運営協議会を設置し、地域住民と学校が力を合わせて学校運営の取組を開始したところです。引き続き、学校や地域の課題について議論を重ね、学校と地域が同じ目標に向かってより良い教育や地域の活性化を目指す、「地域と共にある学校づくり」を推進してまいります。

また、子どもたちに自然体験学習機会を提供し、市内の魅力ある資源を再発見してもらうため、国営ひたち海浜公園と連携し、コキアの植え付け体験や沢田湧水地の自然・植物のガイドツアーなどを実施してまいります。

小学校5・6年生を対象とした学習支援事業「ひたちなか未来塾」につきましては、教育委員会、学校、市民ボランティアの連携のもと、放課後の空き教室を活用して実施しております。引き続き、市内全ての小学校等で実施し、学習の意欲の向上を図ってまいります。

学校給食につきましては、令和3年12月に開催されました全国学校給食甲子園において、美乃浜学園の栄養教諭が考案した献立が日本一に輝きました。地場産物を活かした本市の給食が評価されたことは非常に喜ばしいことだと感じております。本市では、安全安心でおいしい給食を提供するため、計画的に各小中学校給食室の改修を進めており、来年度においては、長堀小学校と佐野中学校のドライシステム化を実施してまいります。

学校給食費の会計処理につきましては、本市においては学校長の責任により管理する「私会計」を採用しておりますが、学校現場の負担を軽減し、教職員が子どもたちと向き合う時間を増やすため、令和6年度からの公会計化に向けた体制を整備してまいります。こうした取組を推進し、学校給食等の更なる充実を図るため、学務課内に設置していた保健給食室を保健給食課といたします。

ICT教育の推進につきましては、令和3年5月から各学校において、タブレット端末を活用した授業を開始したことに加え、大型提示装置と指導者用デジタル教科書を整備いたしました。今後も教員の指導力向上のための研修を計画的に実施し、ICTを効果的に活用した学習活動の充実を図ってまいります。

4 地域経済の活性化とにぎわいのあるまちづくり

4つ目は、地域経済の活性化とにぎわいのあるまちづくりであります。

多くの人から「選ばれるまち」となり、住み続けていただくためには、働く場が確保されていることが大切です。多様な産業の活性化を図り、雇用を促進することに加え、新たな賑わいを創出することによって、定住人口のみならず、交流人口や関係人口の拡大につなげてまいります。

農業につきましては、ほしいもの産地間競争が激しさを増す中、日本一の生産量を誇る産地としての歴史や製法、個々の生産者の特色ある取組等、本市の強みを生かしながら、ひたちなか市産ほしいもの魅力を全国に発信してまいります。

また、ほしいもの原料である「甘藷」の新たな病害である「基腐病」を含めた自然災害による収入減少を補償する、収入保険への加入促進を図るため、保険料の一部を支援する「収入保険加入促進事業」を、引き続き実施してまいります。

本市でのみ生産されている、大粒で、高い品質基準を満たしたトップブランド米「特栽・特選ふくまる」につきましては、市内小学校で実施している稲作体験学習に、ふくまるの苗を提供するとともに、生産者によるサポートを行い、食育の機会を作ることによって、地産地消の機運醸成や認知度向上につなげてまいります。

水産業につきましては、漁業就業希望者の発掘を目的に、漁協と連携した漁業体験研修を引き続き実施してまいります。また、新規就業者を県の研修支援期間終了後も継続して雇用した漁業者に対して支援を行うことにより、漁業への定着を図ってまいります。

また、商工会議所や漁協等で構成する「魚食普及活動実行委員会」による、地魚を取り扱う店舗の登録制度「ひたちなか地魚応援隊」を活用した魚食普及キャンペーンの取組や、地魚をPRする「地魚まつり」、「地魚料理教室」の開催支援等を通じて、本市産水産物の消費拡大を推進してまいります。

そして、これらひたちなか市産農水産物の魅力を県外にも広く発信するため、県や近隣市町村と連携を強化しながら、東京都内のイベント会場等においてPR活動を行ってまいります。

観光につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による各種イベントの中止など、非常に厳しい状況が続いております。特にこれまで20年の長きにわたり、本市を会場に開催されてきたロック・イン・ジャパン・フェスティバルの移転は非常に残念でありました。しかし、青年会議所が主催しているティーンズロックにつきましては、引き続きロック・イン・ジャパン・フェスティバルの運営会社と連携しながら開催する予定と伺っておりますので、市といたしましても、イベントの開催に向けて支援を行ってまいります。そして、25周年などの節目の年には再び本市で開催していただけることに期待をし、運営会社の皆様との関係性を継続してまいります。

本市観光の集客の柱である、海水浴場の開設や、ひたちなか祭り、各種花火大会等につきましては、感染状況を見極めながら開催を支援してまいります。また、コロナ禍でも新たな集客源としてニーズが高まっている、サイクルツーリズムや海岸の通年利用を推進するとともに、新たなイベントの誘致に取り組むなど、多様性のある安定的な集客体制の構築を目指してまいります。

また、恒常的に経済効果が望めるよう、引き続き、観光協会が実施するお土産品の開発・磨き上げや市内での宿泊促進を支援することで観光客の消費を誘発してまいります。

さらに、「ひたちなか大洗リゾート構想推進協議会」や「大洗・ひたち海浜シーサイドルート利活用推進協議会」など、茨城県や近隣市町村等と連携した広域観光を推進し、市単独の取組との相乗効果を図りながら集客力の向上や観光消費額の増加につなげてまいります。

茨城港常陸那珂港区につきましては、昨年度に2バース目の水深12m岸壁の一部が供用開始されたことなどにより、港湾施設の利便性の向上が着実に図られております。また、完成自動車の輸出増加等により取扱貨物量も順調に推移しており、令和2年の取扱貨物量、コンテナ取扱量はともに過去最高を更新いたしました。今後も、更なる港湾機能の強化が図られるよう、国・県に働きかけてまいります。あわせて、県や東海村等と連携しながら、荷主企業等を対象としたセミナーの開催や国内外へのポートセールス、コンテナ貨物集荷促進事業に引き続き取り組んでまいります。

常陸那珂工業団地が分譲完了して以来、企業立地や市内中小企業の移転・拡張に対応する新たな工業用地の確保が喫緊の課題となっております。これまで様々な角度から検討を行い、ひたちなか地区の国有地を候補地として選定いたしました。引き続き、民間活力の導入も含めて検討するとともに、国・県等の関係機関との調整を進めてまいります。そして、工業団地造成後の企業誘致に向けて、企業訪問や企業立地セミナーを通じた、本市の魅力的な立地環境等のPRに努めてまいります。

中小企業への支援につきましては、産業活性化コーディネーターや商工会議所等の関係機関と連携するとともに、先端設備等導入計画の認定スキームを活用した固定資産税の優遇措置を実施することで、事業対象者の設備投資を促してまいります。また、中小企業向けの補助金につきましては、これまでの新製品等の開発や販路開拓などの取組に対する支援に加え、昨今の事業者ニーズを考慮して、対象事業を一部改編し、人材の確保に向けた中小企業等の積極的な取組を支援してまいります。

商業の活性化につきましては、コロナ禍で停滞している市内の経済活動回復に向けて、プレミアム率を20%に引き上げて実施している商品券発行事業に、引き続き、商工会議所とともに取り組んでまいります。また、ひたちなか祭りや七夕まつりなど、商店街等で開催されるイベントを支援し、感染状況を見極めながら商店街等の活性化やにぎわいの創出を図ってまいります。

ふるさと納税の取組につきましては、返礼品として地場産品等の提供を開始してから寄付額は順調に伸び、令和3年度は2月末時点において、5,600件以上のご寄付をいただき、寄付額は1億円を突破いたしました。このように、ふるさと納税という形で多くの方々が本市のまちづくりに関心を持ち、関わっていただいていることは、大変ありがたいことだと感じております。引き続き、地場産品等の提供を通じて、本市の認知度向上や地域経済の活性化につなげるとともに、関係人口の拡大に向けて、返礼品の拡充や広報活動の強化に努めながら、寄付件数の増加も図ってまいります。

令和3年度の勝田全国マラソン大会は、第70回目の記念大会であったため、初めての取組として参加者配布用Tシャツデザインを募集し、全国から多くの応募をいただきましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により1年延期といたしました。令和4年度に開催予定の第70回大会では、最優秀賞のデザインTシャツを着た多くのランナーをお迎えできるよう、感染症対策の徹底と参加者へのおもてなしの充実を図り、記念大会にふさわしい形での開催に向けて、安全で安心な大会運営に努めてまいります。

5 快適で機能的な住みよいまちづくり

5つ目は、快適で機能的な住みよいまちづくりであります。

人口減少や少子高齢化が進む中でも、将来にわたり人々や企業から選ばれる活力のあるまちとなるよう、利便性と快適性を備えたまちづくりを進めていく必要があります。

佐和駅東西自由通路及び新駅舎整備事業につきましては、JRとの施行協定に基づき、令和5年春の供用開始を目指し、引き続き整備を進めてまいります。また、佐和駅東口につきましては、新駅舎等の供用開始に併せ、駅前広場と自転車駐車場の整備を進めてまいります。さらに、西口駅前広場につきましては、新駅舎等の供用開始後の改修に向け実施設計を行ってまいります。

市内7地区で進めている土地区画整理事業につきましては、地域間の交通ネットワークの構築と通学路等での歩行者の安全を確保するため、引き続き都市計画道路の整備を優先的に進めてまいります。また、雨水排水の課題を解消するために雨水管の整備を併せて進め、良好な居住環境を備えた街並みの形成に取り組んでまいります。

東中根高場線の高場陸橋の4車線化につきましては、令和3年9月にJRと締結した施行協定に基づき、橋桁の架設工事に着手し、令和6年度中の供用開始を目指してまいります。

中心市街地において建替えを計画している中央図書館につきましては、市の財政状況や社会情勢を見極めるとともに、市民や議会等のご意見も踏まえて、幅広い世代に親しまれる魅力的な図書館の建設に向けて、引き続き検討を進めてまいります。

市街化区域内の公園空白地解消に向けた公園の整備につきましては、令和3年度の田彦西地区に続き、令和4年度は、磯崎町地区を対象として公園整備を行うとともに、大平自治会地区への公園整備に向けた用地の取得を進めてまいります。

下水道事業につきましては、国の令和3年度補正予算を活用しながら、引き続き、下水浄化センター施設等の処理機能を維持するため、老朽化対策等を計画的に進めてまいります。

合併処理浄化槽につきましては、地域の状況に即して、下水道事業との役割分担を図りながら、新たな補助項目を追加し、水洗化率の向上を図ってまいります。

市民の日常生活の足として市内全域を運行している「スマイルあおぞらバス」につきましては、引き続き地域の利用者からの要望等を踏まえ、利便性の向上を図ってまいります。

また、新型コロナウイルス感染症の影響を受けているひたちなか海浜鉄道及びバス事業者を支援するため、引き続き、1日フリー券の割引販売補助を行い、地域公共交通の利用を喚起してまいります。

ひたちなか海浜鉄道湊線につきましては、令和3年度の利用者数は、美乃浜学園駅の開業に伴う通学定期利用者の増加があったものの、依然として新型コロナウイルス感染症の影響を受けており、コロナ禍前の令和元年度と同程度の約100万人となる見込みです。自立的・安定的な事業運営に向け、引き続き、おらが湊鐵道応援団、沿線の市民の皆様や高校等と連携しながら、利用者の回復に努めてまいります。また、安全な運行を確保するための設備投資に対する補助を、国・県と協調して行ってまいります。

湊線の延伸事業につきましては、工事施行認可申請の期限を令和5年3月31日まで、1年程度延長したところですが、引き続き、一日も早い工事施行認可申請に向けて、ひたちなか海浜鉄道を支援してまいります。あわせて、用地交渉の進捗状況や工事施行認可の取得時期等を踏まえながら、国・県からの支援が受けられるよう、取り組んでまいります。

環境に対する取組につきましては、将来に向けてより良い環境をつくるという姿勢を明確にするため、環境保全課の名称を環境政策課に改めます。そして、第3次環境基本計画に定める「暮らしと自然が共生し、ゆとりと潤いのある自立協働都市」を目指し、気候変動対策をはじめとした取組を積極的に推進してまいります。具体的には、太陽光発電設備と共に蓄電システムを導入する家庭に対し、費用の一部を引き続き支援するほか、プラグインハイブリッド車を公用車として導入するなど、温室効果ガス排出量の削減に向けた取組を進めてまいります。また、県内でも温室効果ガス排出割合が比較的多い港湾部におけるカーボンニュートラルの実現に向けて、国や県、関係市町村、港湾利用企業等による協議を行ってまいります。

6 市民とともに知恵と力を合わせたまちづくり

6つ目は、市民とともに知恵と力を合わせたまちづくりであります。

コロナ禍による新しい生活様式の普及により、人と人との関わり方に大きな変化がみられる今こそ、市民一人一人にまちへの誇りや愛着を持ち続けていただけるような取組を推進していく必要があります。

本市のまちづくりにつきましては、平成22年4月に市民参加のもとつくりあげた「自立と協働のまちづくり基本条例」を規範とし、市民・議会・行政が適切に役割を分担しながら取り組んでまいりました。

中学校区単位のコミュニティ組織においては、コミュニティセンター運営のほか、この2年間は中止や規模縮小となりましたが、お祭りや運動会をはじめ、地域の特色を発揮した活動が展開され、様々な担い手により連携して地域づくりに取り組まれています。また、各コミュニティに設置されたまちづくり市民会議では、自らの住む地域の課題について話し合い、自分たちの地域でできることは自分たちで取り組むという方針のもと、様々な活動が進められております。引き続き必要な支援を行いながら、共に、より良い地域づくりを行ってまいります。

自治会につきましては、住民同士のつながりを育みながら、それぞれの地域の課題や特性に合わせた多彩な事業が展開されており、市も連携して協働のまちづくりを進めてまいりました。しかし、少子高齢化の進行やライフスタイルが変化する中、自治会に求められている役割はますます増加しております。このような状況を受け、現在、市から自治会への協力依頼のあり方について見直しを行っているところです。その結果に基づき、全庁的に自治会の負担軽減に取り組んでまいります。

自治会活動の効率化やコロナ禍における円滑な活動を進めるためには、ICTの活用が有効であると認識しております。このため、令和3年度に自治会のICT環境を整備するための補助金を創設いたしました。引き続き、補助金の更なる活用促進に加え、スマートフォン・パソコンの活用能力を高める講座の開催など、自治会活動のICT化に向けたサポート体制を整えてまいります。

また、自治会への若年層の未加入や高齢者の中途脱会などにより、地域活動の担い手不足が深刻化しております。そのため、これからの担い手となる若年層などの加入促進を図るため、自治会連合会と連携しながら、自治会の重要性や必要性を分かりやすく伝える自治会活動ガイドブック「おとなりさん」を活用し、自治会の理解促進に努めてまいります。

美乃浜学園の開校に伴い、閉校となった小中学校の跡地につきましては、恒久的な利活用について、地域のご意見も伺いながら検討を進めているところです。このうち、旧阿字ヶ浦中学校の跡地につきましては、地元のニーズを反映させ、阿字ヶ浦地域活性化の拠点となる地域交流センターとしての活用を検討しております。現在、地域のコミュニティ組織と協議を続けているところであり、令和4年度中のオープンを目指してまいります。

旧県立那珂湊第二高等学校跡地を活用し、運営されている「しおかぜみなと」におきましては、スポーツや文化活動、地域交流活動など多方面にわたる活動が展開されています。1号館、2号館校舎及び「はまぎく会館」については、令和3年6月に解体が完了し、令和4年度は新館の建設に着手してまいります。

本市の保有する公共施設は、その半数以上の建物が建設後40年以上経過しており、限られた財源の中で、適切に維持管理等を行っていく公共施設全体のマネジメントが求められております。そのため、建替えも踏まえた将来的な公共施設の維持管理に係るコストや、適正な施設保有量の把握を目的として、専門的な知見を有する民間事業者のノウハウを活用しながら、「施設保全計画」の策定に着手してまいります。

公共施設の中でも、令和3年度から先行して検討を行っております体育施設につきましては、施設の状態や活用状況、利用者からのご意見等をもとに現状や課題の整理を進めております。令和4年度末を目途に方向性を取りまとめるとともに、その結果を今後の公共施設マネジメントに反映してまいります。

公共施設マネジメントを推進していくための組織体制として、管財課を廃止し、新たに「資産経営課」を設置いたします。「資産経営課」においては、学校施設も含めた公共施設の営繕業務を集約し、長寿命化・多機能化を計画的に進めてまいります。それに伴い、管財課が所管していた契約検査事務を、新設する「契約検査課」にて実施いたします。

教育委員会事務局においては、職責と立場を明確化するため、教育次長の職名を教育部長に改めます。また、学校施設の営繕業務集約に伴い、施設整備課を廃止いたします。学校施設の日常点検や軽易な修繕などの業務については、学務課の名称を「学校管理課」に改め、所管することといたします。

広域連携の取組につきましては、本市を含む県央地域9市町村で形成してまいりました「定住自立圏」から、より広範な分野での連携が可能となる「連携中枢都市圏」に移行するため、本年2月21日に連携中枢都市である水戸市と連携協約の締結を行いました。人口減少・少子高齢化社会においても持続可能な都市圏の形成に向け、医療や公共交通、移住・定住の促進などの取組を推進してまいります。

本市はこれまで、転入や死亡などのライフイベントに伴う手続きについてウェブサイト上で調べることのできる「くらしの手続きガイド」の導入など、市民サービスの向上に努めてまいりました。その中でも、死亡に関する手続きは、ご遺族の事情によって様々であり、複数の窓口にまたがることも多いことから、ご遺族の負担軽減を図るため、予約制で手続きを一元的に受け付ける窓口を新たに設置してまいります。

行政情報の発信につきましては、今年2月に市ウェブサイトのリニューアルを実施いたしました。新しいウェブサイトにおいては、本市のイメージを盛り込んだ親しみやすいデザインに一新し、スマートフォンでの閲覧にも配慮いたしました。利用者の目線にたった、わかりやすいページ構成に改めるとともに、すべてのページの文章を子どもからお年寄り、日本語が不得意な外国人でも分かりやすい「やさしい日本語」に変換する機能を導入いたしました。加えて、情報をプッシュ型でお知らせすることのできる市公式LINEにおいても、利用者のニーズに合わせた情報をカスタマイズできる機能などを導入しているところです。市民生活に関わるお知らせや市の政策などを皆様にしっかりとお伝えできるよう「市報ひたちなか」に加え、SNSを積極的に活用することにより、幅広い世代に向けた効果的で速報性の高い情報発信を行ってまいります。

マーケティング推進事業につきましては、これまで行ってきた調査結果などを踏まえながら、公募による男女9名で結成した「いいとこ発信隊」による住民目線での魅力発信や、東京圏等に向けたウェブ広告等を活用した情報発信など、様々なプロモーションを行ってまいりました。引き続き、効果的なプロモーションを行い、移住・定住の促進に向けて、市内外に本市の魅力を発信してまいります。また、新たに、民間企業のオンラインコミュニティを活用した官民連携事業として、移住検討者のニーズ調査や民間企業の発信力を活かしたプロモーションを実施してまいります。

さらに、「ファン共創事業」として、ひたちなか市のまちづくりに共感し、関わる機会を望んでいる方々が、イベントやワークショップなどを通じて継続的なつながりを築きながら、共にまちづくりを進めることができる新たな仕組みづくりにも取り組んでまいります。

コロナ禍で帰省が難しい本市出身の大学生等を応援するために実施してきた学生エール便につきましては、特産品等の送付により学生を支援することに加えて、本市と学生とのつながりの構築という観点も大切にしながら、引き続き実施してまいります。そして、申請者に対して定期的な情報発信を行いながらつながりを継続し、関係性を深めてまいります。

こうしてつながりをもった本市出身の学生や、東京圏等に在住する学生などから参加者を募り、市内立地企業へのインターンシップや本市の課題解決に向けたフィールドワーク等を実施することによって、参加者と市民・地域とが多様な関係性を築く、「絆構築プロジェクト」を新たに開始いたします。こうした、本市の魅力を再認識する機会を作ることにより、本市において転出超過の傾向にある若年層のUIJターンに結びつけてまいります。

また、本市への転入者の増加につなげるため、令和3年度より東京圏から本市に移住した世帯に対する支援金を創設したことに加え、移住フェアや移住マッチングサイト等での情報発信、移住検討者に本市の暮らしを体験していただくお試し移住事業などに取り組んでまいりました。引き続き、これらの取組を継続し、本市への移住促進に努めてまいります。

まちに対する誇りや愛着である「シビックプライド」を醸成する取組につきましては、これまで、ワークショップや一般投票を実施しながら、ひたちなか市のキャッチコピーとロゴマークを市民の皆様と共に創ってまいりました。そこで決定した「ひとが咲くまち。ひたちなか」というキャッチコピーとロゴマークは、本市の成長性や多様性がとても良く表現されているものであると考えております。これらキャッチコピー等につきましては、今後、イベント等において積極的に使用するなど、市民への浸透を図り、シビックプライドの醸成に活用してまいります。

また、シビックプライドの更なる醸成に向けて、SDGsと関連付けたシンポジウムを開催いたします。このシンポジウムでは、SDGsの有識者や、より良いまちづくりのために様々な分野で自ら積極的に活動している方にご登壇いただき、講演やパネルディスカッションを実施する予定です。そして、まちのことを自分ごととして捉え、誰もが自分らしく活躍できる持続可能なまちの実現について考えるきっかけづくりとしてまいります。

人口減少社会やコロナ禍という先行きを見通すことが難しい時代において、本市が持続的に発展していくためには、これまで築き上げてきたまちの価値を守りながらも、第3次総合計画に掲げる将来都市像をしっかりと見据えた挑戦を続けていくことが必要です。

そのために、市民の皆様はもちろん、市に関わりをもってくださっている全ての方々にとって、ひたちなか市が、自分らしい花を咲かせ、活き活きと活躍できる魅力あるまちであり続けるよう、全力で市政運営に取り組んでまいります。

 

以上、令和4年度の施政方針をご説明申し上げました。

市民並びに議員各位の格別なるご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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