平成31年度 ひたちなか市施政方針
大谷明市長は、平成31年ひたちなか市議会3月定例会の開会(平成31年2月27日)に当たり、平成31年度の市政運営に関する所信を表明しました。ひたちなか市施政方針の全文を掲載します。
6つの施策の柱
- 市民の安全安心な暮らしを守るまちづくり
- 生涯を通じていきいきと暮らせるまちづくり
- 子育て世代に選ばれるまちづくり
- 地域経済の活性化とにぎわいのあるまちづくり
- 快適で機能的な住みよいまちづくり
- 市民とともに知恵と力を合わせたまちづくり
平成31年度 ひたちなか市施政方針
平成31年第1回ひたちなか市議会3月定例会の開催に当たり、提案いたしました議案などの説明に先立ちまして、市政運営に関する所信の一端を申し上げ、市民並びに議員各位のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
まず、市政の取組の前提となる社会情勢及び平成31年度予算案について申し上げます。
我が国では、人口減少とともに少子高齢化が進展し、地方の危機が叫ばれて久しいところであります。このような中、本年10月に予定されている消費税率10%への引上げにつきましては、その税収を国の財政赤字の削減と社会保障の充実に概ね半分ずつ充当することとされております。これにより政府は、幼児教育・保育の無償化や、処遇改善による介護人材の確保などに取り組み、若者から高齢者まで全ての人が安心できる「全世代型社会保障制度」を構築することを目指しております。
地方自治体は、このような課題にしっかりと向き合うとともに、社会保障関連経費の増加など、厳しい財政状況が想定される中においても、新たな視点や発想を持ちながら、創意工夫ある取組を自ら進めることが求められております。
このため、産業を振興し、特に若い世代の働く場をしっかりと確保することと同時に、子どものいる家庭が仕事と育児を両立できるよう、社会全体で子どもを育む環境づくりに重点的に取り組む必要があります。
また、本市におきましても高齢化が進展する中、生涯にわたり住み慣れた地域で自分らしく過ごせるよう、医療や介護、生活支援などを一体的に提供できるシステムづくりが不可欠です。
加えて、子どもや高齢者の見守りなど、地域社会での支え合いを担う自治会の会員確保も大きな課題となっております。
本市としましては、バランスよく発展した多様な産業、自主的な地域活動を行う市民や団体などの知恵や力を結集し、子育てから介護まで、一生を通じて安心して暮らせるまちを実現することで、できる限り人口減少や少子高齢化の抑制に努めてまいりたいと考えております。
このような認識のもと、平成31年度の予算編成に当たりましては、市政の直面する諸課題へ的確に対処し、主要施策を滞りなく進めるとともに、本市の価値を更に高め、魅力あふれるまちを実現するための施策に積極的に取り組むことといたしました。
まず、一般会計につきまして、歳入の根幹を成す市税について申し上げます。アメリカの保護主義の台頭や中国経済の減速、そして両国の貿易摩擦、イギリスのEU離脱問題など、海外経済や金融資本市場の先行きの不透明感が強まる中、法人市民税では、法人税率引下げの影響等を考慮し、減収を見込んでおります。また、個人市民税については、景気や雇用の情勢及び配偶者控除・配偶者特別控除に関する税制改正等による影響を考慮し、微増と見込んでおります。固定資産税では、一定規模の資産について、復興特区制度による課税免除の適用期間が終了することから増収を見込み、市税全体としては、前年度当初予算と比較して、ほぼ横ばいとなる246億540万円としております。
また、少子高齢化に伴う社会保障関連経費の増加などに対処するため、財政調整基金及び市債管理基金からの繰入金45億2,076万円を計上しているところでありますが、引き続き、適切な財政運営に努めてまいります。
次に、歳出につきましては、「豪雨から市民を守る緊急治水計画」に基づく雨水幹線整備や、土地区画整理事業の推進、統合校建設事業、佐和駅東西自由通路・新駅舎整備事業などの進捗を図ってまいります。あわせて、ひたちなか海浜鉄道湊線の延伸など、本市の発展に向けた主要施策に引き続き取り組んでまいります。
また、45年ぶりに本県で開催される「いきいき茨城ゆめ国体」、そして「いきいき茨城ゆめ大会」につきましては、市内で競技が行われる陸上、水泳、サッカー、バレーボールの大会運営はもちろんのこと、開会式・閉会式においても、本市は重要な役割を担うこととなっております。
茨城港常陸那珂港区におきましては、県内初となる外国クルーズ船の寄港が予定されており、歓迎・見送りのイベントを開催いたします。
さらに、ひたちなか市誕生25周年を迎える中、開催20周年を記念して5日間にわたり繰り広げられる「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」と本市とのタイアップ事業を行ってまいります。また、本市出身で我が国を代表する日本画家・那波多目功一氏に関する生涯学習イベントや、那珂湊支所での作品展覧会などを企画しています。25周年の節目にふさわしい行事が目白押しでありますことから、内外から多くの来訪者が期待されるところであります。本市を広くPRする絶好の機会と捉え、市を挙げてのおもてなしを行うなど、リピーターの獲得もしっかりと図ってまいります。
さらには、様々なニーズに対応した子どもの居場所づくりなど、子育て支援の充実に力を入れてまいります。また、高齢者の健康と安心を支えるため、相談支援体制を強化するとともに、引き続き医療と介護の連携を推進してまいります。
協働のまちづくりを推進する観点では、市民にとって身近で頼りになる「地域のつながり」の大切さを呼びかけながら、自治会への加入を促進してまいります。
新たな政策としましては、多様化するニーズを把握・分析し、市政に的確に反映させるため、「マーケティング推進室」を設置することとし、政策的なニーズ調査に関する予算を計上いたしました。民間の力を活用し、マーケティングの手法を取り入れながら、本市特産品のPRや、お土産品の開発、市内での宿泊を促進する取組の支援などにより、地域経済の活性化を図ってまいります。
このようなことから、一般会計では、前年度比37億6,800万円、7%増の572億5,600万円となる当初予算を編成したところであります。
また、特別会計では、公共下水道事業特別会計において、「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」関連経費が盛り込まれた国の平成30年度補正予算を活用し、緊急治水計画事業の一部を平成31年度から前倒して3月補正予算に計上しております。平成31年度においても、引き続き雨水幹線整備を着実に進めてまいります。
上坪浄水場の移転・改築事業に取り組む水道事業会計などを含めた特別会計全体では、前年度比5%増の451億6,704万円となっております。
平成に続く新たな時代が幕を開ける新年度の当初予算は、一般会計と特別会計の合計が初めて1,000億円を超え、1,024億2,304万円という過去最大規模になりました。大きな節目を迎える中、本市の更なる発展に向けた新たなスタートを切ることができるよう、全力で市政に取り組んでまいります。
次に、平成31年度の市政への具体的な取組でございます。第3次総合計画の基本構想を尊重した以下の6つの柱立てに沿って、新たな取組や重点施策などについてご説明申し上げます。
1 市民の安全安心な暮らしを守るまちづくり
1つ目は、市民の安全安心な暮らしを守るまちづくりであります。
市民の安全安心の確保は、行政の最大の使命であります。地震や台風、集中豪雨などの自然災害への備えを着実に進めてまいります。
津波からの避難路ともなる船窪地区の和田町常陸海浜公園線につきましては、2020年4月の供用開始に向けて、整備を進めてまいります。
集中豪雨対策につきましては、緊急治水計画に基づき、高場流域及び大島流域の雨水幹線整備を、下流域の一級河川大川など、河川改修の進捗との整合を図りながら一体的に進めてまいります。
水道事業につきましては、水道施設の強靭化による水の安定供給に向けて、引き続き、上坪浄水場の移転・改築事業を進めるとともに、老朽管の更新による耐震化を計画的に実施し、災害に強い施設づくりに取り組んでまいります。
また、大規模災害に対応し、備蓄品の保管や、支援物資の受入れ・配送の拠点となる基幹的防災備蓄倉庫につきましては、平成31年度中に解体が完了する旧勝田清掃センターの跡地での整備に向けて、基本設計・実施設計を進めてまいります。
原子力災害に備えた広域避難計画の策定につきましては、この2月に、広域避難計画の基本方針について住民説明会を開催し、地域ごとの避難先をお示しするとともに、市民の皆様から、避難計画に係る様々なご意見を頂いたところです。
東海第二原子力発電所周辺には、原発所在地として他に例のない規模の人口が集積しております。実効性のある計画の策定は、困難を極めておりますが、引き続き、県や関係市町村と情報共有を図りながら、市民の安全確保を最優先とした広域避難計画の策定に取り組んでまいります。
また、東海第二原発の再稼動問題につきましては、新安全協定に基づき、東海村を含む6市村で連携を図りながら、原子力所在地域の自治体として責任ある対応をしてまいります。
安定ヨウ素剤の事前配布につきましては、既に配布している丸剤の有効期限が本年7月までであることから、更新のお知らせとともに、新しい丸剤の配布を行ってまいります。
消防・救急につきましては、指令システム及びデジタル無線システムの設備等の全面的な更新時期が迫るとともに、老朽化対策が課題となっている消防本部・笹野消防署の庁舎の建て替えに向けた基本計画の策定を支援してまいります。
学校の安全対策につきましては、現在、防犯カメラが未設置となっている小中学校及び公立幼稚園に対して、平成31年度中に設置してまいります。
また、昨今の高齢者を狙った悪質商法や架空請求、インターネットを介した消費者トラブルなど、多様化する消費者問題から市民を守る取組として、消費生活に関する相談事業や情報提供、啓発などを引き続き実施してまいります。
2 生涯を通じていきいきと暮らせるまちづくり
2つ目は、生涯を通じていきいきと暮らせるまちづくりであります。
高齢化や核家族化が進展する中、多様化するニーズに対して、行政だけで全て対応することが難しくなっております。地域の高齢者の日常生活における困りごとなどについて、地域社会における支え合いの意識を醸成し、助け合う仕組みを構築することがますます重要となります。
このような認識のもと、本市としましては、コミュニティ組織や自治会、民生委員、福祉事業者等の関係者による協議の場づくりを推進し、積極的に意見交換を行ってまいります。
また、社会福祉協議会と連携しながら、中学校区ごとの9箇所で「地域福祉座談会」を開催し、福祉に関する課題について、地域住民の意見に耳を傾け、施策に反映してまいります。
高齢者サロンや地域の集会所など、身近な住民同士の支え合いや交流の拠点づくりにつきましては、空き家の有効活用も方策の一つとして、自治会など地元の方々にご意見を頂きながら、検討を進めてまいります。
また、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、地域包括ケアの要となる「おとしより相談センター」の人員を増やすとともに、土曜日も開所するなど、相談支援体制を充実・強化してまいります。
医療と介護が必要な高齢者に対しましては、切れ目なくサービス等を提供できるよう、引き続き医療・介護の連携を推進してまいります。
介護保険事業につきましては、平成31年度に「小規模多機能型居宅介護」の施設が新たに1箇所開設される予定であり、整備を支援してまいります。今後も高齢化の進展を見据え、需要に即した介護サービス基盤の充実に努めてまいります。
介護予防の取組につきましては、引き続き、元気アップ体操を普及する元気アップサポーターを養成してまいります。あわせて、シルバーリハビリ体操指導士会との連携を強化し、誰でも通うことのできる「地域の体操教室」を増設し、高齢者の健康の維持・増進を図ってまいります。
また、元気アップポイント事業への参加を促進するため、これらの介護予防の取組について、ポイントを付与する対象項目に加えることを検討してまいります。
健康づくりにも効果的なスポーツの振興につきましては、伝統ある「勝田全国マラソン」を、商工会議所と連携した前日祭の開催などにより、地域の活性化にもつながる一大イベントとして開催してまいります。
また、「いきいき茨城ゆめ国体・いきいき茨城ゆめ大会」につきましては、各競技団体と連携を図りながら、万全の体制で開催できるよう準備を進めてまいります。大会に当たりましては、選手や監督、大会関係者を温かくお迎えするとともに、運営業務の簡素化・効率化を図るなど創意工夫をしてまいります。
さらに、2020年開催の「東京オリンピック・パラリンピック」につきましては、昨年12月に日本オリンピック委員会、茨城県、水戸市とともに、ベルギーオリンピック委員会と事前キャンプに関する基本合意書を締結いたしました。事前キャンプの受入れはもちろん、ベルギー選手団による小中学校訪問や、各種スポーツ団体との交流、公開練習の見学、さらには日本、ベルギー双方の伝統文化に触れ合うことのできるイベントなどを検討してまいります。
障害者福祉につきましては、障害のある方に対する理解を促進するため、外見では障害の有無や必要な支援の内容が伝わりにくい方への支援として、新たにヘルプマーク及びヘルプカードを配布してまいります。また、点字メニューや筆談ボードを店舗に設置するなど、障害のある方に必要な合理的配慮を提供するための費用について、民間事業者等を支援してまいります。
高齢などの事情により公共交通の利用が困難な方々につきましては、介護・福祉の観点からの買い物等の支援策として、デイサービスの送迎車両の空き時間を利用し、移送サービスを実施する事業者を支援してまいります。あわせて、本市の特性に合った手法・施策の導入可能性についても、調査・研究してまいります。
地域医療を支える医師確保につきましては、ひたちなか総合病院における、救急医療等に不可欠な麻酔科医の確保や、筑波大学附属病院との協定に基づく社会連携講座による高度専門医師の確保を引き続き支援してまいります。
また、医療・介護・福祉分野の専門家を目指す学生が、市内で学ぶことができるよう、看護学校や医療・福祉分野の専門学校などの誘致実現のため、より具体的な取組を進めてまいります。
医療福祉費支給制度、いわゆるマル福につきましては、県補助事業に合わせて、精神障害者保健福祉手帳1級を所持している方に対する助成を平成31年度から新たに実施してまいります。
疾病予防につきましては、感染の拡大が続いている風しんの追加対策として、これまで定期予防接種を受ける機会がなかった男性を対象に、抗体検査及びワクチン接種を新たに実施してまいります。
3 子育て世代に選ばれるまちづくり
3つ目は、子育て世代に選ばれるまちづくりであります。
子育て中の若い世代や、その子どもたちに将来にわたって住み続けてもらうためには、子どもを産み育てやすい環境を整えるとともに、未来を担う子どもたちの豊かな人間性を育む取組が重要であります。
平成29年10月にオープンした子育て支援センター「ふぁみりこ」におきましては、未就学児を持つ子育て世代の利用が増加しております。さらに小学校入学後の子どもを育てる世代も「ふぁみりこらぼ」に気軽に集うことができるよう、土曜日・日曜日・祝日や夏休み期間などにおいて、小学生も親子で活用することができる場を開設してまいります。
また、子どもが主体的に考えながら屋外で思い切り遊ぶことができるプレーパークにつきましては、子どもの自主性や社会性などを育む上で、かけがえのないものと考えております。こうした取組が市内に広まっていくよう、プレーパーク活動やその普及に向けた取組を新たに支援してまいります。
また、小学校高学年の児童は、多様な価値観に触れ合う機会が多い地域社会の中で放課後を過ごすことで社会性が育まれる、との考えから、子どもたちが地域の方々と安心して過ごすことのできる放課後の居場所づくりを行う団体等を支援してまいります。
放課後学童クラブにつきましては、朝から夕方まで終日での開設となる夏休み期間中において、実費負担による昼食を希望者に提供できる体制を整えるとともに、保育環境の更なる充実に努めてまいります。
また、近年、子どもたちの成長を支える人材の確保に関する課題として、保育需要の増加に伴い、保育士不足が深刻化しております。このため、保育業務のブランクが長い方や現場経験の少ない方が、復職等への不安を解消して職場復帰できるよう、保育所の職場見学ツアーや職場体験講習会を市独自に実施し、人材確保につなげてまいります。
教育行政につきましては、幼児期の子どもたちの発育や学びが、小学校での生活や学習に円滑につなげられるよう、保育所や幼稚園、小学校の関係者で意見交換を行う場を設けるなど、保幼小連携を推進してまいります。
また、障害の有無にかかわらず、誰もが共に多様性を尊重し合いながら学ぶインクルーシブ教育につきましては、各幼稚園・小中学校の特別支援教育コーディネーターを中心に、指導・研修体制の充実などに取り組んでまいります。さらに、特別の支援を必要とする児童・生徒に対する介助員を増員し、一人一人の状況に応じた支援の更なる充実に努めてまいります。
本市初の小中一貫義務教育学校として開校予定の平磯・磯崎・阿字ヶ浦地区の統合校につきましては、学校施設の建設工事や、通学路となる主要な周辺道路の整備に着手してまいります。また、統合校の教育課程、通学路、校名等につきましては、保護者や地域、学校関係者などのご意見を伺いながら実施計画として取りまとめ、2021年度の開校に向けた取組を推進してまいります。
あわせて、統合校の児童・生徒が安全に通学できるよう整備する湊線の新駅につきましては、2020年度着工に向けて、詳細設計を進めてまいります。
児童数が増加傾向にある田彦小学校につきましては、校舎の増築を行うため、2020年度内の工事完了を目指して設計を進めてまいります。
また、昨年の記録的な猛暑を踏まえ、児童・生徒の健康保持や学習環境の改善の観点から、全ての小中学校を対象に、普通教室などへのエアコン設置を進めているところであります。全国の自治体で同様の動きがあり、需要の集中が予想されることから、機器の供給の状況や設置業者の動向を注視しながら、本年夏の供用開始を目指してまいります。
また、小中学校におきましては、学習指導の充実が求められる中、対応する教職員の長時間労働が社会的な問題となっております。教職員の負担を軽減し、子どもたちに向き合う時間を確保するため、指導要録の作成や出欠管理、成績処理など様々な校務を、ICTを活用して一元管理することで、効率化・高度化が図れる「統合型校務支援システム」を全小中学校に導入してまいります。
4 地域経済の活性化とにぎわいのあるまちづくり
4つ目は、地域経済の活性化とにぎわいのあるまちづくりであります。
市民の暮らしを支える働く場の確保とまちの活力の維持には、産業の振興と交流の促進が欠かせません。地域に根差した多様な産業を活性化しながら、交流人口の拡大に取り組み、本市の持続的な発展を図ってまいります。
農業につきましては、県内で唯一、本市において生産されている大粒のトップブランド米「特栽・特選ふくまる」の認知度向上を図るため、茨城国体で来訪された方々に実際に試食していただくPR活動を実施してまいります。
また、近年、激しさを増しつつあるほしいもの産地間競争を勝ち抜くため、日本一の生産量を誇る産地としての歴史や製法、個々の生産者の特色ある取組など、本市独自の強みを生かしながら、本市産ほしいもの魅力を全国に発信してまいります。あわせて、ほしいもの商品イメージを高める新たなパッケージ等の商品開発をサポートするため、事例紹介などを行う研修会を開催し、更なる販売促進・販路拡大につなげてまいります。
水産業につきましては、地元水産物の消費拡大を推進するため、商工会議所や漁協等で構成する「魚食普及活動実行委員会」による魚食推進の活動を支援してまいります。
さらに、これらの農水産物を県外にも広くPRするため、東京都内のアンテナショップ「IBARAKI sense」において、試食販売を行ってまいります。
観光につきましては、本市に来訪された方が快適に観光を楽しむことができるよう、JRと連携して、勝田駅の改札付近に新たな観光案内所を本年4月に開設いたします。近年増加傾向にある外国人観光客にも対応するため、多言語による案内・誘導等にも取り組んでまいります。
また、本年は、例年開催されるひたちなか祭りに加えて、湊八朔祭りと平磯三社祭が6年ぶりの同時開催となります。本市が誇るこれらのお祭りの見所や歴史等について、市内外へ情報を発信し、観光資源としての魅力を高めてまいります。
さらに、観光の振興によって地域経済の活性化を図るためには、観光客に対し、市内での宿泊や、地場産品をお土産として消費を促すことが大切です。その最初のステップとして、消費者ニーズなどについてマーケティング調査を実施し、ターゲット及びニーズの把握と分析をしっかりと行ってまいります。
その上で、観光協会や市内の事業者等と連携し、民間の専門的な知見も生かしながら、本市ならではの「まずは一泊」につながる施策や、「新しいお土産品の開発や磨き上げ」に向けた取組を支援してまいります。
県央地域9市町村による広域観光の推進につきましては、平成30年度に実施した観光マーケティング調査の結果に基づき、ターゲット及びニーズを分析し、戦略的に周遊ツアーの企画などを実施してまいります。
国や県、東海村と連携して取り組んでいるひたちなか地区の土地利用につきましては、「留保地利用計画」を指針として、湊線の延伸計画を踏まえた公共交通のターミナル機能や、滞在の拠点となる宿泊機能の導入など、ひたちなか地区にふさわしい機能の誘導を図ってまいります。
茨城港常陸那珂港区につきましては、定期航路の拡充が進み、利便性の向上が図られているところであります。建設機械や完成自動車の輸出等により、取扱貨物量も順調に増加しており、平成29年は過去最高を更新しております。今後も見込まれる貨物量の増加に対応するため、現在、中央ふ頭地区で整備している新たな水深12m岸壁の早期完成等を国・県に働きかけてまいります。また、荷主企業等を対象としたセミナーの開催、国内外へのポートセールス等にも積極的に取り組み、更なる港湾の利用促進に努めてまいります。
企業誘致の取組につきましては、企業訪問や企業立地セミナーの開催等を通じて、「茨城産業再生特区」制度や、市独自の固定資産税の課税免除をはじめとする各種優遇制度、港湾とそれに直結する高速道路などの産業流通インフラの優位性等を積極的にPRし、企業立地及び新たな設備投資を促進してまいります。
中小企業への支援につきましては、「生産性向上特別措置法」に基づく固定資産税の優遇措置等の支援制度を周知し、先端的な技術を活用した部品加工設備や測定検査装置の導入など、中小企業の生産性向上につながる設備投資を促進してまいります。
中心市街地のにぎわいづくりにつきましては、市民交流の拠点である「ふぁみりこらぼ」において、「ふぁみりこらぼまつり」をはじめ、世代を問わずに楽しめる多世代交流イベントを開催してまいります。
また、ひたちなか祭りや七夕まつりなど、商店街周辺のイベントを支援し、にぎわいの創出を図ってまいります。
さらに、商店街等の活性化に向けて、商工会議所が取り組むプレミアム付商品券の発行を引き続き支援してまいります。なお、消費税率引上げの影響を緩和し、地域の消費を喚起するため、低所得者や3歳未満の子どもがいる世帯を対象としたプレミアム付商品券につきましては、国の平成30年度補正予算に合わせて、事務経費の一部を3月補正予算に計上しております。引き続き、準備を進めながら、平成31年度にプレミアム付商品券の発行を行ってまいります。
5 快適で機能的な住みよいまちづくり
5つ目は、快適で機能的な住みよいまちづくりであります。
全国的に人口減少や少子高齢化が進展する中で、本市においても中長期的な人口構造の変化などに対応するため、効率的で持続可能な都市構造を目指し、第3次都市計画マスタープランの策定に着手してまいります。
あわせて、長期間未着手となっている都市計画道路について、将来の道路網の検証や交通量の推計を行い、その結果を踏まえた見直しを行ってまいります。
中央図書館につきましては、建て替えにより、ゆとりある魅力的な空間を創出し、まちのシンボルともなるような図書館を目指したいと考えております。アクセス性や利便性のほか、子どもに「遊び」と「学び」を一体的に提供できるような複合施設の可能性など、総合的に検討を進めてまいります。
また、那珂湊図書館につきましては、平成31年度にエレベーターの設置や、機能拡充のための増築を行い、利便性の向上を図ってまいります。
市内7地区で進めている土地区画整理事業につきましては、全体事業費の抑制と早期完結を図る事業計画の見直しが6地区で終了しております。残る阿字ヶ浦地区については、湊線の延伸計画を見据えながら、平成31年度に見直しを終了いたします。
各地区の整備につきましては、地域間の交通ネットワークの強化を図るための都市計画道路や、公園、駅前広場など、地域の発展につながる都市施設を優先的かつ重点的に進めてまいります。また、通学路の安全の確保や、雨水排水に支障のある箇所など、地区ごとの課題を解消し、良好な住環境を備えた街並みの形成を図ってまいります。
佐和駅東西自由通路及び新駅舎整備事業につきましては、市民の皆様からのご意見を伺いながらデザインを検討し、基本設計を取りまとめるとともに、実施設計に取り組んでまいります。
道路整備につきましては、市北部と東海村とを結ぶ高野小松原線について、平成31年度内の工事完了を目指してまいります。
東中根高場線の高場陸橋につきましては、長寿命化のための修繕工事を実施いたします。また、北側に増設する陸橋につきましては、現在実施している盛土区間の地盤改良工事の完了後、常磐線を跨ぐ橋梁の橋台設置工事と盛土擁壁工事を進めてまいります。
東石川高野線につきましては、高野方面から東石川六ッ野線に接続する部分の工事を平成31年度内に完了させ、六ッ野スポーツの杜公園へのアクセスを確保してまいります。
身近な場所に都市公園がない市街化区域の公園空白地につきましては、平成30年度は先駆けとして堀口公園の整備に取り組み、間もなく完了する予定です。平成31年度は、田彦東地区の用地を取得し、地元自治会と調整を図りながら整備を行ってまいります。
市民の日常生活の足として重要な公共交通につきましては、スマイルあおぞらバスの利便性の向上に向けて、運行ルートや停留所の位置等について、ニーズに即した見直しを行ってまいります。
ひたちなか海浜鉄道につきましては、自立的・安定的な事業運営に向けて、おらが湊鐵道応援団、沿線の市民の皆様や高校等と連携しながら、更なる利用促進に努めてまいります。また、安全運行を確保するための設備投資に対する補助を、国・県と協調して実施してまいります。
湊線の延伸につきましては、平成30年度に学識経験者の専門的なアドバイスを受け、延伸基本計画を取りまとめたところであります。現在、この計画に基づき、事業許可取得に向けた国との本格的な協議を行っておりますが、国において慎重な検討・調整が続けられていることから、想定より時間を要する見込みとなっております。このため、平成31年度は、早期に事業許可を取得できるよう、国などの関係機関に働きかけ、引き続き2024年度の運行開始を目指してまいります。
6 市民とともに知恵と力を合わせたまちづくり
6つ目は、市民とともに知恵と力を合わせたまちづくりであります。
本市におきましては、「自立と協働のまちづくり基本条例」のもと、市民が主役のまちづくりが行われております。
中学校区ごとのコミュニティ組織では、地域活動の拠点となるコミュニティセンターの運営のほか、お祭りや運動会など、地域交流の推進や明るい地域社会づくりに取り組んでおります。さらに、地域にお住まいの方々が参加する「まちづくり市民会議」が開催され、地域の課題解決に向けた議論や活動が活発に進められているところであります。
一方、自治会においては、若年層の未加入や高齢者の脱会などによる加入率の低下により、地域活動の担い手の減少が問題となっております。このため、ひとり暮らしの高齢者の見守り、住民同士の支え合いなど、地域の諸課題の解決に中心的な役割を果たす自治会の意義を多くの人に分かりやすく伝える自治会活動ガイドブックを作成し、自治会加入の促進に積極的に活用してまいります。
また、本市の価値を更に高めるためには、市民や団体などとの連携のほか、民間企業の知恵と力もフルに活用していく必要があると考えております。特に、市民の声にまっすぐに向き合い、市政に的確に反映させるためには、マーケティング会社が持つ手法により、多様化する市民のニーズを調査・分析する必要があります。このため、企画調整課に「マーケティング推進室」を設置し、行政の現場で起きている様々な問題点や事業の改善点などを整理しながら、課題を抽出すること自体にも取り組んでまいります。
そして、行政課題の解決に向けて民間企業と密に連携する中で、そのノウハウや機能を市政に取り入れながら、マーケティング思考の定着を図りたいと考えております。
具体的には、先に述べた観光やお土産品に関するマーケティング、現状ではなかなか市政懇談会等に参加いただけていない子育て世代のニーズに関するマーケティング、第3次総合計画後期基本計画の策定に向けたマーケティングなど、分野横断的にニーズや課題を探り、施策の形成につなげる取組を推進してまいります。
以上、平成31年度の施政方針をご説明申し上げました。
本市の市政運営につきまして、市民並びに議員各位の格別なるご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
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