財団法人ひたちなか市住宅・都市サービス公社の事業再生

ページID1004571  更新日 2022年1月6日

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市は、財団法人ひたちなか市住宅・都市サービス公社(以下「公社」)の事業再生のため、平成24年3月に第三セクター等改革推進債を活用して約29億円の資金を調達し、公社が借入を行っている金融機関に対し、損失補償を履行しました。

今後公社は、公益法人制度改革により一般財団法人へと移行するとともに、所有する商品土地の早期処分に努めてまいります。

(注釈)平成25年4月1日をもって、一般財団法人への移行登記は完了しました。

事業再生の取り組みの概要

公社が債務超過に陥った経緯

公社は、昭和40年に設立された財団法人勝田市住宅公社を前身とし、ひたちなか市の市街地整備政策に関連して、住宅地の計画的供給のための土地の取得、造成、管理、処分及び販売等に努めてまいりました。市の方針に基づき、低廉良質な宅地を供給するため、必要な資金を金融機関から借り入れて調達することとし、市は議会の議決を経て、当該借り入れが金融機関に損失を与えることとなった場合には補償する契約を結んできたところです。

平成22年度末時点で公社が保有していた土地は、昭和43年2月から市の依頼に基づき取得したもので、虎塚古墳史跡公園用地などの公共用地も一部含まれていますが、主に販売に供するものとして、西古内土地区画整理事業地区内において、事業を円滑に進めるための計画に従い平成14年3月まで同事業の保留地等を取得しました。現在まで、これらを造成、販売することで収入を得ていましたが、土地需要の低迷及び長期に渡る地価の下落により、所有する土地を計画通り処分できなかったことから、平成16年度より債務超過に陥りました。特に西古内土地区画整理事業地区内の土地については、取得価格を下回る価格での販売を継続せざるを得ない状況となり、公社の経営に大きな打撃を与えました。このため、市の指導のもと、事務費の圧縮を図り管理費を削減するとともに、より一層分譲に力を入れてまいりましたが、地価の下落に歯止めがかかることはなく、平成22年度決算では、金融機関からの借入金残高は約32億円に上り、約16億5000万円の債務超過となりました。さらに、平成22年度末に実施した商品土地の不動産鑑定評価により、債務超過は約23億5000万円であることが明らかになりました。

表:公共用地29,230万円 販売目的商品土地39,971万円 うち西古内地区内30,493万円 合計69,201万円
平成23年3月31日時点で公社が保有していた土地の時価評価額

存廃の検討

平成20年12月に公益法人制度改革関連3法が施行されたことにより、それまでの公益法人は、平成25年11月末日までに新法人(一般財団法人または公益財団法人)へ移行しなければならなくなり、移行認可を受けなかった場合には自動的に解散となることとされました。また、地方公共団体の財政の健全化に関する法律の全面施行に伴い、国より全ての第三セクターを対象として必要な検討を行い、存廃を含めた抜本的な改革を集中的に行うべきである旨が通知されました。このため市では、平成23年4月に外部有識者による「ひたちなか市出資団体等経営検討委員会」(以下「経営検討委員会」)を設置し、公社の債務解消と今後のあり方について調査検討を行いました。

その結果、多くの土地区画整理事業を実施して、市街地の整備と宅地の供給を行っている本市において、公社が破産等により解散した場合には、公社の所有する土地が安価で市場に出回ることとなるため、周辺の民間が所有する宅地や近隣の土地区画整理事業地区内の保留地の価格が一層下落するだけでなく、これに伴う固定資産税・都市計画税の減収等により、公社を存続させた場合より市民及び市に与える損失が大きい恐れがあることが明らかになりました。このため、経営検討委員会より、公社を再生して事業を継続させることは、市のまちづくりにとって有効であるとの提言がなされました。

事業再生手続き

市は、経営検討委員会の提言を踏まえ、公社の事業を再建し、所有する商品土地の販売を継続する方針を定めました。再建の手法としては、比較的早期に手続きが完了し、かつ手続中においても不動産取引業務を継続できる「事業再生ADR(注釈1)」を選択しました。また、公社が抱える債務については、市の一般財源を一時に投入して解消することは不可能であり、平準化して整理する必要があるため、国が制度化した第三セクター等改革推進債(注釈2)を活用し、市が金融機関に対し損失補償を履行することとしました。

事業再生ADRは、市と公社が作成した事業再生計画案について、国の定める唯一の認証機関である事業再生実務家協会より、その実現可能性について確認を受け、平成24年2月24日に公社に対する債権者(金融機関)の同意を得たことで成立しました。

市は、当該事業再生計画にもとづいて、公社が所有する販売を目的としない公共用地を合計約2億9600万円で取得し、公社はこの売却代金をもって各債権者に対し債務の一部を弁済をしました。弁済後の借入金残高約29億円については、金融機関と市の間の損失補償契約に基づく損失額と認定し、市が第三セクター等改革推進債により資金を調達して、金融機関に対して損失補償を履行しました。その際、市は金融機関より、公社に対して有する貸付債権全額の無償譲渡を受けたため、市が新たに公社の債権者となりました。

公益法人制度改革への対応と今後の公社運営

現在、公社は平成24年4月1日より一般財団法人へ移行するための手続を行っています。公益法人制度改革関連法の定めにより、一般財団法人として存続するためには、決算期において資産総額が負債総額を300万円以上上回る状態を維持しなければならないため、市が債権を放棄することにより公社の債務超過を解消する必要があります。このため市は、市議会の平成24年9月定例会において、公社に対する債権の一部を放棄する議案を上程し、議会の議決を経て、平成24年10月1日をもって公社に対する債権約29億円のうち約25億円を放棄しました。これにより、商品土地の時価総額約3億3000万円(注釈)を含む資産合計約4億6400万円に対し、負債の合計が約4億700万円となり、公社の債務超過は解消されました。

(注釈)平成24年10月1日において公社が保有する土地の平成24年7月1日時点の時価評価額です。公社は、事業再生の取り組み期間においても商品土地の販売を継続しており、これまでに公共用地を含め複数の土地を処分してきたため、平成23年3月31日における金額と異なっています。

今後、公社は一般財団法人に移行したうえで、市の指導・監督のもと、保有する商品土地の早期処分に努めます。土地売却収入により市に対する債務を弁済し、市はその収入を第三セクター等改革推進債の償還に充てることとします。また、公社は今後の経営において、新規に金融機関から資金を調達することはありません。

このような状況を踏まえ、市では、公社の再建や土地区画整理事業の見直しを含む様々な課題に対応するため行財政改革を推進しており、管理職手当および特別職の期末手当の減額や地域手当支給率の抑制等により人件費の削減に努め、あわせて職員数についても抑制に取り組んでいます。平成11年度から取り組みをはじめたこれらの独自の給与減額措置の効果は、平成23年度までの累計で約11億8500万円となっており、平成23年4月1日現在の給与水準は県内44市町村中37位となっております。また、職員数についても、平成23年度における人口1万人当たりの一般行政職員数は36.3人となっており、県内市で最も少なく、全国の類似団体の平均45.95人と比較しても格段に少なくなっています。今後とも行財政改革に取り組み、効率的な行政運営に努めてまいります。

  • (注釈1)事業再生ADR…「裁判外紛争解決手続」の略称で、訴訟や法的倒産手続のように、裁判所による強制力を持った紛争解決の手続を利用することなく、当事者間の話し合いをベースとして、紛争を解決しようとする手続の総称。裁判所を利用する法的整理と異なり、商取引上の風評被害による事業価値の毀損等の問題を避けることができる。
  • (注釈2)第三セクター等改革推進債…地方財政法第33条の5の7第1項各号に規定する、損失補償を行っている法人等の解散又は事業の再生に取り組む地方公共団体で、当該取組みが当該地方公共団体の将来の財政の健全な運営に資すると認められる場合に発行できる起債。
財団法人ひたちなか市住宅・都市サービス公社事業再生の取組み
日付 取り組み項目 主な内容
平成22年3月10日 平成22年市議会第1回3月定例会 一般質問に対し、公社が抱える土地の処分、負債の整理等が課題である旨の市長答弁
9月8日 平成22年市議会第3回9月定例会 一般質問に対し、公社の経営状況は極めて厳しく、三セク債を活用しての公社の解散も含め検討していく旨の市長答弁
12月9日 平成22年市議会第5回12月定例会全員協議会 西古内土地区画整理事業業務代行の返上、上下水道料金徴収業務移管について説明
平成23年3月1日 平成23年市議会第1回3月定例会全員協議会 公益法人制度改革への対応、市外郭団体の方向性について説明
3月10日 平成23年市議会第1回3月定例会 施政方針により、公社について三セク債の活用を検討する旨と上下水道料金徴収業務を文化・スポーツ振興公社(現生活・文化・スポーツ公社)に移管する旨表明
4月18日から8月25日 ひたちなか市出資団体等経営検討委員会 債務整理の手法、破産と再生のコスト比較、経営悪化の要因等の分析(全5回)
10月11日 経営検討委員会より意見書受領  
11月30日 平成23年第8回12月定例会全員協議会 公社改革の目的及び内容の説明
12月2日 事業再生ADR利用申請  
12月8日から12月22日 平成23年市議会第8回12月定例会 三セク債起債及び公社所有の公共用地取得に係る議案上程 原案可決
12月27日 事業再生実務家協会手続実施者による現地調査  
平成24年1月6日 第1回債権者会議 事業再生計画案概要説明
1月9日 公社所有公共用地の売買契約締結 虎塚古墳史跡公園用地外3件について、市が約2億9千万円で購入する契約締結
2月3日 第2回債権者会議 手続き実施者により、公社の事業再生計画案に係る調査結果の説明
2月24日 第3回債権者会議 事業再生計画案に対する決議
事業再生ADR手続終了宣言
2月24日 債権譲渡契約の締結 市と金融機関の間で、公社に対する債権の無償譲渡契約締結(履行日3月16日)
2月27日 第三セクター等改革推進債起債許可申請 茨城県知事宛て
3月8日 第三セクター等改革推進債の起債に係る許可 茨城県知事より許可
3月16日 第三セクター等改革推進債起債 起債額29億330万円
3月16日 金融機関に対し損失補償履行 損失補償額29億330万7000円
3月23日 平成24年市議会第1回3月定例会総務生活委員会 事業再生ADR及び三セク債の起債についての経過と今後の取組みについて説明
9月5日から9月28日 平成24年市議会第3回9月定例会 債権放棄に係る議案上程は原案可決
放棄額25億100万4000円
9月28日 一般財団法人への移行申請 公社より茨城県へ一般財団法人への移行申請
(平成25年4月1日移行登記予定)
平成25年4月1日 一般財団法人への移行登記  

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