アスベストQ&A 4 健康相談に関すること
質問1.アスベストが原因で起こる疾患にはどのようなものがありますか?
回答.アスベストが起こす健康障害には、主に5種類があると言われています。
- アスベスト肺(石綿肺):肺線維症(じん肺)の一種
- 肺がん
- 悪性中皮腫:胸膜、腹膜、心膜または精巣鞘膜にできる悪性腫瘍
- 良性石綿胸膜炎
- びまん性胸膜肥厚
アスベスト肺
肺線維症(じん肺)という病気の一つです。アスベストのばく露によっておきた肺繊維症を特にアスベスト肺(石綿肺)と呼んでいる。職業上アスベスト粉じんを10年以上吸入した労働者に起こると言われており、潜伏期間は15から20年と言われている。
アスベストばく露がなくなったあとでも進行する場合がある。労作性(坂道や階段を上るとき)の息切れが比較的早期の自覚症状で、せき、痰が続いたり、胸や背中に痛みを感じることもある。
肺がん
アスベストが肺がんを起すメカニズムはまだ十分に解明されていないが、肺細胞に取り込まれたアスベスト繊維の物理的刺激によりがんが発生するとされている。また、喫煙と深い関係にあることも知られている。
アスベストばく露から肺がん発症までに15から40年の潜伏期間があり、ばく露量が多いほど肺がんの発生が多くなる。診断・治療は一般の肺がんと同様である。
悪性中皮腫
肺を取り囲む胸膜、腹部臓器を囲む腹膜等にできる悪性の腫瘍。若い時期にアスベストを吸い込んだ人のほうが悪性中皮腫になりやすいことが知られている。潜伏期間は20から50年(およそ40年に発症のピークがある)と言われている。
最初の症状は、悪性胸膜中皮腫では息切れや胸痛が多く、悪性腹膜中皮腫では腹部膨満感や腹痛等で気付くことが多い。診断は、胸部レントゲン検査やCT、超音波検査、胸水や腹水の穿刺による細胞診断、さらに胸腔鏡や腹腔鏡等による組織診断に基づいて行われる。治療法は手術療法、抗がん剤治療、放射線治療などです。予後は不良と言われる。
良性石綿胸膜炎
胸膜腔内に浸出液が生じるもので、半数近くは自覚症状が無く、症状がある場合はせき、呼吸困難の頻度が高いと言われている。
びまん性胸膜肥厚
アスベストによる胸膜炎が発症すると、それに引き続き胸膜が癒着して広範囲に硬くなり、肺のふくらみを障害し呼吸困難をきたす。胸部レントゲン写真上胸膜の肥厚を認めるようになるが、この状態をびまん性胸膜肥厚という。小さい瘢痕領域は、胸膜プラークとよばれる。
質問2.アスベストをどのくらい吸うと発病しますか?
回答.アスベストを吸い込んだ量と肺がんなどの発病との間には相関関係が認められていますが、短期間の低濃度ばく露における危険性については不明な点が多いとされています。
空気中濃度の基準としては、工場などの空気中のアスベストの繊維は、空気1リットル当たり150本以下、工場の敷地境界線における大気中のアスベスト繊維は、空気1リットル当たり10本以下と規定されています。(アスベストの計数は、長さが5マイクロメートル以上かつ長さと幅の比が3対1以上の繊維状物質の計数を行います。)
一般の大気中には、1リットル当たり0.2本くらいのアスベスト繊維があります。
質問3.ロックウールとは何ですか?アスベスト同様、健康影響はありますか?
回答.ロックウールとは玄武岩や天然鉱物を高温の炉で溶かし、遠心力で吹き飛ばして繊維状にした人造鉱物繊維を言います。また、鉱さいを原料(主成分:けい酸、酸化カルシウム)とし、繊維状にしたスラグウール(鉱さい綿)も、最近ではロックウールと呼んでいます。いずれもアスベストとは異なるものです。
発がん性については、IARC(国際がん研究機関)でグループ2B(発がん性があるかもしれない)から、平成13年10月にグループ3(発がん性の分類ができない)に変更されています(アスベストはグループ1(発がん性あり)に分類されています)。
なお、現在市販されているロックウールにはアスベストは使用されていませんが、過去にはアスベスト含有の吹付けロックウール材がありました。
質問4.アスベストの健康影響や健康相談の窓口を教えてください。
回答.状況によって、受診の緊急性や健康診断の必要性は異なります。
現在、職業としてアスベスト作業に従事している方
健康診断の実施
現在在籍している事業場で石綿を取り扱う作業等に従事していた、又はしている方への呼びかけ
労働安全衛生法及び石綿障害防止規則においては、事業者は、石綿を取り扱う作業等に従事させていた、又は従事させている労働者に対して、6か月に1度、健康診断を実施しなければならないこととされています。厚生労働省は、現に在籍している事業場で、次の作業を行っていた、又は行っている方に、事業場で行われる健康診断を確実に受診するよう呼びかけています。
過去にアスベスト作業に従事していた方
過去に在籍していた事業場で石綿を取り扱う作業等に従事していた方への呼びかけ
厚生労働省では、過去に在籍していた事業場で、次の作業を行っていた方は、石綿にばく露している可能性があるので、胸部レントゲン検査等による健康診断を受けるよう呼びかけています。なお、厚生労働省から各事業場に対し、退職者に対しても健康診断を行うよう要請を行っており、過去に在籍した事業場から健康診断の連絡等があった場合には、積極的に利用するよう呼びかけています。
石綿ばく露作業とは
- 石綿原料に関連した作業
- 石綿製品の製造工程における作業
- 石綿製品を取り扱う作業
- これら作業の周辺での作業
アスベスト作業従事者の家族の方
アスベスト作業従事者の作業衣を家族が洗濯することなどによって、家族も吸入の危険性があると言われています。
現在症状のある方は、医療機関(呼吸器内科等)を受診してください。その際医師に、アスベスト作業に従事していたものの家族であることを伝えてください。
現在症状がない場合、自治体の健診や職場健診などを利用して、定期的に胸部レントゲン検査を受けることをお勧めします。
その他健診希望の方
自己管理として、定期的に職場や自治体の健康診断(胸部レントゲン検査)及び肺がん検診を受けることをお勧めします。または、かかりつけ医師や近隣の医師(内科、呼吸器科等)に相談をしてください。
また、健康相談については、ひたちなか保健所で受け付けております。
(参照)
健康被害等について 茨城県ひたちなか保健所(電話)029-265-5515
労働災害等について 水戸労働基準監督署(電話)029-226-2237
質問5.一般の環境で生活していて、アスベストによる健康障害を起こす可能性がありますか?
回答.一般大気中にも1L(リットル)あたり0.2から0.6本程度のアスベスト繊維がありますが、この程度の濃度では健康影響を引き起こすことはないと言われています。
このページに関するお問い合わせ
環境政策課
〒312-8501 茨城県ひたちなか市東石川2丁目10番1号
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